美容整形における医療費控除

病気にかかった、または怪我をした場合は、医療機関へと行き適切な医療処置を受けます。人によって、医療処置を受けた金額が莫大になり、家計をひっ迫する可能性もなくはありません。そのような際に役立つ制度が医療費控除の制度です。

ところで、医療機関は、医療行為ばかりではなく美容の際にも利用します。美容の際の費用も医療費控除の対象になるのか、その関係を説明します。

美容クリニックの施術とは

医療行為として行われる行為は、すべて病気や怪我の治療のために行われるわけではありません。生活していくうえで、必要のない行為であっても、医療機関で受けなければならない処置はあり、それらも医療行為に含まれています。

それらの行為の中で、特に美容のために特化して行われる医療行為が、美容整形や美容外科と呼ばれるものです。美容整形とは、容姿を美しくするために行われる形成外科的な手技を用いた医療行為のことを指します。二重まぶたの成形手術や隆鼻術をはじめとして豊胸手術、しわとり施術などが代表的なものです。

正常な組織に対して施術を施すものであり、医療法によって定められている正式な診療科ではなく、整形外科とは混同されがちですが、明確に異なります。美容に関する施術は整形外科にかかわるもの以外でも数多く存在しています。

小顔のためのマッサージなどもあれば、歯を美しく白く見せるためのホワイトニング、脱毛施術などといったものも美容に大きく関係する施術です。これらは整形施術ではなくとも、まとめて美容整形と呼ぶこともあります。

美容整形の施術は、基本的に保険適用外の施術です。病気や怪我の治療のために行われる医療行為は、必要不可欠なものが多く保険の対象となりますが、美容整形は不必要なものも多く対象外となることが多くなります。そのため美容整形にかかる費用は全額負担であり、基本的には高額です。

医療費控除とは

人によっては体調を崩しやすかったり、怪我をしやすかったりします。また、ある時大病を患えば医療費で生計が圧迫され、生活が成り立たなくなる可能性もあります。そのような事態を避けるために、かかる医療費が一定以上になれば、その負担を一定程度控除するという仕組みがあります。

それが医療費控除であり、納税義務を果たしているすべての国民が基本的に受けることができる制度であり、医療費の負担が大きい家計にとって非常にありがたい制度です。医療費控除とは、自分と自分の養っている親族など(生計一)が医療機関等、あるいは医療行為のために支払ったお金を、その支払った金額のうち一定の基準でもって金額を控除して、その残額を所得から控除することができるという制度です。

その控除の最大金額は年間で200万円となっています。控除の基準は所得などにより決まっています。所得が年200万円以上である場合は、10万円までの控除となりますが、所得が200万円に満たない場合は所得に5%を掛けた金額が控除されます。

また、保険会社から補填された医療費額も医療費控除の対象です。医療費控除は、現金が基本になっており、未払いの医療費は医療費控除の対象外となります。通常医療費は現金で支払うものですが、のちにまとめて支払うような仕組みをとっている場合は注意が必要です。

クレジットカードで支払いをした場合は、引き落とした日付ではなく、診療を受けた日付が支払った日付と換算されます。

高額療養費の制度

医療費控除のほかにも、支払った金額が膨大になった医療費を助ける仕組みというものはあります。そのひとつが高額療養費制度です。高額療養費とは、長期間にわたる入院や通院、手術などによって医療費の自己負担額が高額になったしまった場合に、家計の負担を減らすために作られた制度です。

高額療養費制度によって、1か月に支払う医療費の自己負担額というものは上限が定められています。その上限を超えた場合、申請によって超えた金額を手元に戻すことができます。対象となる医療費は、病院での医療費をはじめ、処方箋による薬代であり、複数の医療機関や家計を一緒にする家族の医療費もまとめて申請することが可能です。

自己負担額の上限は、計算式によって求められますが、おおよその平均は8万円程度となっています。美容整形にかかる費用は、高額になることが多いです。しかし高額療養費制度の自己負担額の補助の仕組みは医療保険上の自己負担額が対象となります。

そのため、医療保険の対象とならない美容整形にかかる費用は、高額療養費制度の対象とはなりません。ただし、保険が使える美容整形の施術もあるので、施術を受ける前にあらかじめ医療機関に問い合わせることが勧められます。

医療費控除の対象となる医療行為

医療費控除は、すべての医療費が対象というわけではありません。対象となる医療費とそうでないものもあるのでしっかりと領収書を分けて保管することが必要です。医療費控除の対象となるものは、まず医師・歯科医師による診療と治療にかかった費用で、これは保険診療でも自由診療でも問題ありません。

日本国内で受けた治療ばかりではなく、海外での治療費でも対象です。治療に必要となり医薬品も対象となります。これは処方せんによる薬代から始まり、医療機関にかからずに購入した市販の薬代や医療器具の費用も対象です。

また病院に収容される際の費用も対象となります。病院までの交通費や医師の送迎費、入院中の部屋代・食事代、そして入院中のヘルパー代金などと幅広いです。一見対象にならないと感じますが、鍼灸・マッサージ・接骨院の費用や分娩費用も対象です。

このほか、介護保険制度の対象となるサービスを受けた際にかかる費用も含まれています。大人の場合は対象にならないものでも、子どもならば対象となるものもあります。子どもの弱視防止のための眼鏡や歯科矯正がそれらにあたり、これは発達を阻害しないために必要となる治療に該当するからです。

医療費控除の対象外の医療行為

医療費控除の対象とならないものは数多くあります。領収書をとっていたとしても対象とならないので、注意しましょう。対象とならないものは、健康診断や人間ドッグ、予防接種など、健康を予防するために医療機関を利用した費用です。

ただし診断の結果、重大な病気が発見して治療となった場合には対象となることもあります。交通費は対象ですが、自家用車のガソリン代などは対象外です。療養のために第三者に支払う対価も対象外です。このほか病気予防や健康増進のために購入したサプリなども対象外となるので注意が必要となります。

美容整形と医療費控除

医療費控除の対象となるものは、基本的には病気や怪我の診療・治療代や薬代となります。正常な状態から手を加えていく形が多い美容整形の費用は対象となるのかどうかといったことが疑問となります。結論から言ってしまえば、美容整形にかかる費用は医療費控除の対象外です。

医療費控除の対象となるものは、認められた病気に認められた治療法が行われた場合だけとなります。しかし、一般的には美容整形と考えられるものであっても、そうでないかの判断があいまいな施術というものがあります。

美容クリニックで行っていたとしても、対象となる施術もあるので、細かく見ていきましょう。大まかに分けると豊胸手術や脱毛施術は対象外となることが多いですが、わきがや口臭は認められる可能性も高く、レーシックやインプラントは認められています。

わきがや口臭は、他人を不快にさせないための施術というイメージがありますが、健康害によって引き起こされている可能性も高く、レーシックやインプラントは見た目の向上のために行われることが多いですが、実際生活で必要とする人が多いからです。

このほか、あごや鼻の整形は、顎関節症がかかわっている場合は対象となり、ほくろの除去も症状によって、でべそや乳頭の治療も場合によって認められます。病院によっては必ず保険の対象となる治療をしてくれるかどうかはわかりません。

治療方針を確認し、どれだけの費用が掛かり、それは自分に適した治療なのかどうかをしっかりと確認したうえで治療を決定することが重要です。

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医療費控除を受けるには

医療費控除は、ただ対象となる金額の医療費を支払ったならば自動的になされるものではありません。必ず所定の手続きを踏まなければ、控除されることはないので、しっかりと知識を身に着けることが重要です。医療費控除は、年度末に行われる確定申告の際に行います。

手続きには、医療行為によってかかった費用だと証明するために、病院や薬局の領収書やレシートの提出が必要なため、しっかりと確保することが必要です。そのうえで、医療費の明細書を作成し、確定申告の医療費控除の欄に記入します。

これらの書類を作成し、役所に提出して完了です。